いわゆる正統派文学の系統は得意分野ではないのだが、三島文学も然り。
「宴のあと」はタイトルから主題に想像がついたので読んでみたくなった作品だった。
買い置いてしばらく経つが、読み始めると「かづ」の人生の熱情の渦に一気に飲み込まれていった。

話は雪後庵の女将かづを中心に、そこに訪れる政治家や隠居の面々との交流や来る都知事選の顛末を描く。解説にもあるが、

「知識人」の空想的な理想より、「民衆」の生命力に富む現実感覚の方がより政治的であった


ということなのだろう。しかし、それに留まらず作者自身の政治観や安保闘争へのアイロニー、あるいはかづと野口氏に見られるような男女間の根本性質の相違にも焦点が当たっているといえよう。

個人的には「活力の孤独」という表現に共感を覚えた。
駆け続けるかづの人生の選択と、野口氏の余生。
「宴のあと」の対照的な結末にもやはり作者の人生観を垣間見ることになるだろう。

読者を引き込む終始丁寧な筆致で、世代関係なく読むことができる作品である。

宴のあと (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社
1969-07-22