詩情豊かな作品を好む自分からすると、ずいぶん破天荒な作風にまずはびっくりした。

本作は新人作家武田久生氏の処女作で、「月光町ブルース」と「ホラ吹き松吉」の2作品から構成される。
会話文には豊富な知識が投入され、世界観により厚みを与えている印象。
「ホラ吹き松吉」ではいくつかの視点の中に「ユウ坊」の存在が大きくなっているが、そうした視点に作者の経験や思いが投影されているのだろう。
アジア諸国を放浪したことがあるという作者ならではの奇想天外な展開は、読者をも不思議の国へ旅立たせてくれるはず。

献本ありがとうございました。


月光町ブルース
武田久生
リトル・ガリヴァー社
2013-10-31