読書コミュニティ "ブクナビサロン"

名古屋にあるブクナビサロンPassion Portの公式ブログ。 本に纏わる話題やツールの紹介、書評を書いていきます。 相互RSSの提携も募集しています。 webサイト http://www.book-navi.net/

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    side-Aとside-Bから構成されている。

    一卵性双生児の姉かすみとの偶然の出会い、そして妹のゆかりとの出会いから「僕」の物語は紡がれていく。一卵性双生児ゆえにすべての面において似通ってしまうふたりだが、かすみは「アイデンティティーの喪失」に怯えていた。
    ゆかりの愛した尾崎に抱いた激しくもかなわぬ恋。その狭間で「僕」は六年前に死んだ恋人水穂への思いが氷解しきれないやりきれなさを抱えながら、二人の運命の歯車に巻き込まれていく。―水穂への愛は本物だったのか。
    あくまでドライな「僕」はかすみへの想いとともに変化していく。
    sideBは驚きの冒頭から一気に読んでしまった。

    設定は比較的安易であり、ステレオタイプであるといえそうだが、"個のアイデンティティー"というテーマの中にはある種の悲哀すら感じるリアルさがあり、感慨深かった。
    結局は"自分とは何か"を不断に問い続けるしかなさそうではあるが...。

    46歳の誕生日、中年夫婦の不和から妻が家出する顛末を描いた作品。
    ある意味では突拍子のない展開に驚きを禁じ得ないのだが、あるいは”事実は小説より奇なり”で、こんなこともあるのかもしれない。

    ”家族””会社””学校”という均衡に保たれている日常の崩壊は、もしかしたらちょっとしたことで起きるのかもしれない。
    しかし、環境を変えてもその人間の本質はそうそう変わるものでもない。

    この作品では人間の、誰もが持っている醜い部分がふんだんに散りばめられている。無神経な物言い、騙し、女性関係、仲間内の噂…。感受性の高い読者なら耳が痛いことも多いだろう。

    とにかく、遠くへ荒野を走る。
    果たして、そんなことは可能だろうか。

    私たちは果てしない荒野の向こうに何を見るのだろうか。

    だから荒野
    桐野 夏生
    毎日新聞社
    2013-10-08

    日本初となるオンライン生命保険、「ライフネット生命」はもちろん知っています。旧態依然として不透明な経営を続ける生保業界に風穴を開けるべく、インターネットベースの生保会社を立ち上げたことは大変興味深く思っていました。
    その共同創業者にして代表取締役副社長岩瀬大輔氏による著書は読み始めると一気に読んでしまいました。
    好きな作家の小説と同じく、読後には爽快感があり、やはり何かが違うのかもしれないと思います。

    ネットで生保を売ろう!

     
    岩瀬 大輔
    文藝春秋
    2011-03-24

    湊かなえ原作の映画「告白」に触発されて手に取った一冊。
    一気に読めてしまいました。

    核家族、共働きが一般化する中で、DVや虐待、引きこもり、果ては殺人によって崩壊していく”家族”が珍しくなくなった。
    この物語に登場する”家族”は、”精いっぱい頑張らなきゃ転がり落ちてしまう””坂道病”の人たちばかりなのかもしれない。

    子は親を選べないし、親は子を選べない。いくらか自由になったといっても、家族環境を選ぶことはできない。
    脆くなってしまった”家族”について改めて考えさせられる作品。

    夜行観覧車 (双葉文庫)
    湊 かなえ
    双葉社
    2013-01-04

    自分の中で歴史小説が復権しつつあるような気がします。

    多くの三国志モノは映画「レッド・クリフ」がそうだったように「赤壁の戦い」をハイライトとし、長くても諸葛孔明の北伐と壮絶な死までを描いているものがほとんど。今作はその後にスポットを当て、三国統一と晋朝成立までを描きます。

    「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の言で有名な孔明の死と蜀軍撤退のシーンからスタート。
    孔明の意志を継ぐ姜維と魏の実権を握る司馬懿。
    蜀漢と魏の攻防を軸に悲喜交々の歴史物語が繰り広げられる。
    このあたり、宮城谷さんの『小説 十八史略』などで読んだことがあったが、真剣に読み入ったのは初めてかもしれない。
    もちろん、先の赤壁のように英傑が集結しているわけではないのだが、権力の変遷や人々の生き様はあるいは今にも通じる奥深さを垣間見せてくれた。

    帝に佞ねる官僚、腐敗する政治、堕落する人々、荒廃する街。
    脱官僚を掲げる民主党は大丈夫でしょうか。
    「温故知新」ではないですが、歴史上の経験は大いに生かすべきでしょう。
    それからの三国志

     
    内田 重久
    文芸社
    2009-06-01

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